ボードゲーム:スティッキー
聞こえない子どもたちとボードゲームであそぼう!今月は「手話でボードゲーム会」で人気のゲームをご紹介していきます。
3歳くらいから遊べる「スティッキー」です。
遊び方は簡単。
①全部のスティックを木の輪に通してセットします。
②サイコロ(目は赤・青・黄のみ)を振って、出た色のスティックを抜きます。
③木の輪が床に着いたら負け。
意外に倒れないもんなんですよ。
手話でルール説明できなくても、1度遊べばやり方がわかりますし、小さい子から大人まで一緒に楽しめるし、良いゲームです。
テーブルが滑りやすいと、最初のセットがうまくいかないことがあります。私は大判フェルトを敷いてセットすることが多いです。
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情報:スティッキー
プレイ人数:2〜4人
対象年齢:6歳以上
プレイ時間:10分程度
価格:3000円程度
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わらべの時間@ニコット
今日の午前中、児童発達支援・放課後デイサービス「ニコット」さんで、わらべうたと絵本で楽しむ「わらべの時間」をしてきました。
ニコットさんには、聞こえない子どもたちだけではなく、さまざまな障害をもつ子どもたちが、放課後や土曜日に過ごしています。
まずは「おてぶし」。どっちの手に入ってるか当てるわらべ。
いつもツカミでやっているのですが、今回もみんなググッと寄ってきてくれました。
それからスタッフさんにご協力いただいて、大人と1対1のわらべ。
「東京都日本橋」「おもちを焼いて(オリジナル)」「おすわりやすいすどっせ」
はじめての経験で、すぐに楽しむ子、慎重な子、いろんな反応がどれもかわいい。
次に、集団あそびで「ゆうびんはいたつ」と「かえろかえろ(オリジナル)」。最後はクールダウンで「ぼうず」。
45分ほどたっぷり遊びました。
そのあと節分の話。鬼の話で想像力豊かな男の子を泣かせてしまいました、ゴメンナサイ。
私が首からかけているのが、ロジャーという補聴援助システムのマイク。補聴器に電波を飛ばして聞き取りやすくしています。
最後は絵本『おにはそと(せなけいこ作)』を手話で読み聞かせして、おしまい。
手話もあり、音も聞き取りやすい工夫がしてあるニコットさんで、子どもたちはリラックスして過ごしています。
これから月1ペースで「わらべの時間」が開催されることになり、とっても楽しみです。
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情報:児童発達支援・放課後等デイサービス「ニコット」
電話/FAX:093-953-6130
Instagram:nikotto.11
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「見えルール」(1)
ボードゲームは、見てわかりやすい、見て美しい、見て楽しいものが多く、本来、聞こえない人たちとの相性は良いものだと思っていますが、すべてのゲームでストレスなく遊べるわけではありません。少しルール変更をしたり、便利な道具を使ったりすると楽しめるものが多いです。
そういう、聞こえない人たちが「見てわかる」ルールを〔見えルール〕と名付けて、開発・紹介していきたいと思います。
各ゲームに〔見えルール〕がありますが、今日は、多くのゲームに共通する〔見えルール〕をご紹介します。
(1)「せーの!」
ボードゲームには、「せーの!」で一斉にカードを出したり、ゲームが始まったりすることがよくありますが、聞こえない子どもたちにとって、「せーの!」は聞こえにくい言葉です。
自分が見ている方向の人が言えば気がつきますが、違う方向の人が言っていれば見逃してしまいます。子どもたちは、「気がついたら始まっていた」「いつのまにか置いていかれていた」という経験を日常的にしていて、なんとかみんなについていくために、「いつ始まるか、いつ始まるか」と、絶えず緊張して、周りに目を配って待っていなければなりません。
子どもたちが、そんなに張り詰めないでリラックスしてゲームに臨むために、便利な合図があります。
指と声で「3・2・1」と言うのです。
私の周りの聞こえない人たちは、写真を撮る時に「ハイ、チーズ!」の代わりに「3・2・1・カシャッ」とします。ゲームでも同じように、「3・2・1・スタート!」とすれば、子どもたちはタイミングを予測でき、安心してゲームをスタートさせることができます。
(2)早く言った者勝ち
ワードバスケット、ワードスナイパー、ドブルなど、「早く言った者勝ち」方式のゲームはたくさんありますが、これも、聞こえない人にとっては苦手な方法です。何か声がした気がしても、誰が言ったのかわからないし、聞き取れないことも多いし、自分の考えに集中していると、なおさら周りの音が聞こえにくくなります。
それに対する工夫はいくつかあります。
①指さし
答えを「言う」代わりに、指でさして伝えます。この方法だと、オリジナルルールとほぼ同じスピード感でゲームが進みます。〔ドブル〕で使っています。
②コマを置いて発言権確定
答えがわかったら自分のコマを置きます。最初にコマを置いた人に発言権があります。それから答えを言います。この方法だと、オリジナルルールよりもゆったりとゲームが進んでいきます。〔ワードスナイパー〕〔ワードバスケット〕で使っています。
③手番制にする
早い者勝ちではなく、順番にプレイする手番制のゲームは、いつ自分がプレイすれば良いかわかりやすく、自分の番以外では少し気を緩めても良いし、リラックスして楽しめます。手番制に変更できそうなゲームは、変更してみるのも良い工夫だと思います。
今回は、ボードゲームをしていると頻繁に出てくる「せーの!」と「早く言った者勝ち」を取り上げました。これからも〔見えルール〕随時追加していきます。
聞こえない人と聞こえる人が同じ卓を囲んでボードゲームを楽しむ光景が、いつか当たり前になることを願って。
ボードゲーム:ワードスナイパー
聞こえない子どもたちとボードゲームであそぼう!
ボードゲームにはさまざまなジャンルがありますが、言葉で遊ぶものは「ワードゲーム」「ワード系」などと呼ばれます。
そのワード系の中で、私がよく遊んでいるのが、以前ご紹介した「フラッシュワード」とテレビで紹介されたこともある「ワードバスケット」、そして今回ご紹介する「ワードスナイパー」です。
フラッシュワードは「頭文字×文字数」、ワードバスケットは「頭文字×最後の文字×しりとり」、そしてワードスナイパーは「頭文字×テーマ」という組み合わせを楽しみます。
このブログは、手話で楽しむボードゲームをご紹介しているので、ワード系のゲーム中はすべて、「指文字」もしくは「手話」で表します。手話学習中の皆さんには、楽しいトレーニングになります。
オリジナルルールは、思いついた人が答えを言う「早い者勝ち方式」ですが、今回の改変ルールでは、プレイヤーそれぞれにコマを準備します。今回はボタンで。
〔準備〕すべてのカードを、テーマが書いてある方を上にして山札にします。
①1枚めくったらゲームスタート。頭文字から始まる、テーマに合った言葉を考えます。
②思いついたら、文字カードの上にコマを置きます。
③コマが置かれたら、その持ち主に発言権があります。持ち主は指文字で言葉を表します。合っていたら、文字カードをもらえます。
以下、①〜③を繰り返し、山札がなくなった時に手札が一番多い人が勝ちです。
Q:思いつかない時は?
全員が思いつかない時は、さらにカードを1枚めくります。テーマが新しくなり、頭文字が増えます。どの頭文字でも、言葉を思いついたら答えることができます。
Q:答えが微妙な時は?
「それってテーマに合ってる?」と微妙な時は、全員で○か×か判定して決めます。
指文字を知らない人と遊ぶ時は、ホワイトボードを用意して、書いて表すと良いですね。
頭の前の方が熱くなる、楽しいゲームです。
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〔情報〕ワードスナイパー
人数:2〜6人
年齢:6歳以上
時間:10〜20分
価格:1650円(リゴレ)
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ボードゲーム:ドブル
聞こえない子どもたちとボードゲームであそぼう!
先日の筑後市図書館で、聞こえない子と聞こえる子がガチバトルをしていた「ドブル」です。
2枚のカードは必ず1つだけ同じ絵(サイズは違う)があります。55枚のカードの中からどの2枚を選んでも必ず1つだけ同じ絵があります。不思議です。
遊び方は、ルールブックに5つありますが、聞こえない子どもたちと遊ぶには、1つ目の「タワーリングインフェルノ」という遊び方の変形が遊びやすいです。
まず、全員に1枚ずつカードを配ります。残りのカードは絵が書いてある方を上にして山札にします。
「3・2・1」で手札を同時に表に返したら、ゲームスタート!
①自分の手札と山札を見比べて、同じものを探します。
②見つかったら、山札の絵をタッチ!そして手札の同じ絵をタッチ!(「ポンッポンッ」というタイミング)
③一番早かった人がそのカードを手に入れ、手札の一番上に乗せます。
その瞬間、山札が次の絵になるので、①→②→③を繰り返します。
こうやってどんどん進めていき、山札がなくなった時点で手札が最も多い人が勝ちです。
このゲーム、何が面白いかって、小学生以上だったら、子供も大人も、聞こえる人も聞こえない人も、何の手加減もせずに真剣勝負できるところです。まあ、大人は子供に勝てません。
先日も、幼稚園年長さん+小学1年生+大人2人というメンバーで熱く戦っていました。
白熱すると、誰が早かったか、指差した絵が合っているか、などの判断が必要になってくるので、人数に余裕があれば審判を置いても良いかもしれません。
ドブルにはキッズ版もあります。キッズ版は絵柄が動物になっていて、絵の名前を呼びやすくなっていますが、この改変ルールでは指差しを使うので、キッズ版でも通常版でも、遊び方に変わりはありません。通常版の方がカードが多いので(キッズ版30枚、通常版55枚)、遊びごたえがあるかな、と思います。
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〔情報〕ドブル
人数:2〜8人
年齢:6歳以上
時間:5分くらい
価格:1500円くらい
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筑後市図書館ボードゲームイベント
今日は、筑後市図書館の開館7周年記念イベント「図書館でボードゲーム」にボランティアとして参加しました。
10時から16時半までの時間内に170名もの方が遊びに来てくださって大盛況。私のルール説明がグダグダだったのは今後の課題として、知らないゲームをたくさん体験できたし、キャプテンリノの巨大版もできたし、私自身もたっぷり楽しみました。
午後、事前にお声かけしていた聞こえない子のご家族が、2家族8名遊びに来てくれました。入口で恥ずかしそうにもじもじする子どもたちを見て、はじめは「今日は雰囲気に慣れてくれれば…」くらいのつもりでいました。もちろん私が進行して、2家族だけで、やったことのあるゲームを…と。
ところが、思いがけない展開に。
私がちょっと席を外して戻ってくると、それぞれ別のボランティアスタッフからルール説明を受けて、別のゲームをしています。席には、聞こえる子も聞こえない子もいます。
スタッフの皆さんの対応も実にスマート。特別扱いするでもなく、ただ「小さい子が遊びに来た」という感じで丁寧に説明してくださっていました。
ヒューゴ、ドブル、BONK…子どもたちは次々に遊んでいきます。魅力的なゲームたちを目の前にした子どもたちにとって、聞こえるか聞こえないかは、大した問題ではないように見えました。ワード系のゲームは難しいと思っていたのに、私の通訳を介して、ワードスナイパーも楽しみました。
以前から「ボードゲームは聞こえない子と聞こえる子をつなぐ架け橋になる」と感じていましたが、実際にそれを目の当たりにして、密かに感激していました。
子どもたちのポテンシャルを大いに感じたとともに、自分が子どもたちのことを低く見積もりすぎていたのではないか、と自戒しました。
私には、ボードゲームに関して2つの夢があります。
1つ目は、聞こえない子たちが、一般のボードゲーム会にふつうに参加するようになることです。
これは、今日叶いました。
2つ目は、聞こえない青年が、一人でボードゲームバーの扉を開け、ポケットからカードゲーム(私の妄想の中では「アルティメットカウントゲーム」)を取り出し、アイコンタクトとジェスチャーだけで、その場で出会ったばかりの客と遊ぶことです。
今日、図書館に来た子どもたちが、もしかしたら20年後…期待が膨らみます。
聞こえる子どもたちにとって、聞こえない子どもが、「社会の時間に習う聴覚障害者」ではなく「よくゲーム会で会うあの子」になる…。「お手伝いしてあげないといけない子」ではなく「ボードゲームで勝ったり負けたりするあいつ」になる…。そんな未来を思い描いて、今年も元気に活動していこうと、改めて思った一日でした。
第1回手話でボードゲーム会@えーるピアくるめ
2019年1月12日(土)13:30〜16:00
福岡県久留米市のえーるピアくるめで、
初めての「手話でボードゲーム会」を開催しました。
これは、親子でボードゲームを楽しんでもらおうという企画です。
持ち込んだゲームは↓
幼児さんから小学生くらいまでが遊べるゲームを揃えました。
スタッフ3名(含小6)でまったく手探りのセッティング。
時間になると、ポツポツご家族で遊びに来ていただいて、少しずつ卓が埋まってきました。
イチゴリラ、カヤナック、スティッキー。
ヒントをいいます、メイクンブレイクジュニア、ドブルあたりも人気でした。
大定番のヒューゴはこの日も大盛り上がり。
「手話でボードゲーム会」は、聞こえない人大歓迎のイベントなので、聞こえない人がストレスなく遊べる工夫をしています。
スピードカップスは、完成したらベルを鳴らすのではなく、スクイーズのパンを取っていくルールに。
レシピはカードスタンドを使って、手話でおしゃべりしながら進めました。
2歳から6歳までの子供たち。どんなに小さくても一生懸命考えていて、その真剣な眼差しは神々しい、とさえ感じました。
本当は、好きな時に来て好きな時に帰るイメージだったのですが、ほとんどの皆さんが最後までおられて、片付けまでしていただきました。
ご家族の笑い声が絶えない、素敵な2時間半でした。
4月から、定期的に開催できたらな、と考えています。