目のまど

手話で聴く心の支援「目のまど」店主。手話通訳士。臨床心理士。聞こえない・聞こえにくい人と手話にまつわるいろんなことをしています。

第2回かいじゅうの森ボードゲーム会

3/23(金)、聞こえない子どもたちが通う放課後デイサービス「かいじゅうの森」で、冬休みに引き続き2回目のボードゲーム会を行いました。

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今回は、幼児8名小学生15名の23名。ボードゲーム会スタッフ(ボ育て班)7名、放デイのスタッフさん10名に、放デイの英会話の先生も入って、40人超の大所帯で楽しみました。


前回は、幼児エリアと小学生エリアに分かれて遊びましたが、あれからボードゲーム会やご家庭でボードゲームで遊ぶ子が増え、「ゲーム慣れしている幼児」と「ゲームを見たこともない小学生」が混在する状態になったので、今回は「ミックスエリア」を設置。アクション系のゲームを中心に配置しました。


【幼児エリア】

スティッキー

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その他、「おさかなクン」「バルーンズ」

ボ育て班メンバーの持ち込みゲームで「はじめての果樹園」「おばけキャッチ」などが遊ばれていました。


【ミックスエリア】

いつも大人気「キャプテン・リノ」。

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レシピはいつも「定番料理編」なので、今日は初めて「人気料理編」をプレイ。

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「にわとりのしっぽ」はボ育て班メンバーの持ち込みゲーム。

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その他、「ドブル」「イチゴリラ」が遊ばれていました。


【小学生エリア】

前回人気を独占した「ヒューゴ」。

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予想通り小学生が夢中になった「ブロックス」。

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「それはオレの魚だ!」もわかりやすかったようです。

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「それはオレの魚だ!」は、フェルトのお魚マットと採点カードを自作。とても遊びやすくなりました。

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最後は「ペンギンパーティ」。これもルールがわかりやすく、幼児と小学生が一緒に遊べました。

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「また月曜日に来て!」と喜んでくれた子どもたち。次回は夏休み。子どもたちの、長期休暇ごとの楽しみになってくれたら嬉しいです。

リーフレット

先月、私が所属する「九州聴覚障害心理臨床研究会」で、リーフレットを作りました。

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聴覚障害についてのごく基本的なことを書いています。

もともとは、全国の臨床心理士に、もっと聴覚障害について啓発したいと考え、精神科クリニックや心理相談室に配布するために作りました。手話を学んだことがある方にとっては、ご存知のことばかりです。

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先日、ある研修でご紹介したら、

「難聴学級の先生方に配る!」とたくさん持ち帰ってくださった方がおられました。

活用範囲は、想定していたよりも広いかもしれません。

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必要な方は、郵送もしますので、お気軽にお問い合わせください。


手話で聴く心の支援 目のまど

いりょうみきこ

iryomico@gmail.com

第1回手話でボードゲーム会@福岡

福岡市ではじめての「手話でボードゲーム会」。

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直接の知り合いは、聴覚特別支援学校幼稚部ママのMさんお一人のみ。来年度入園する3親子もお誘いしているものの、何人来てくれるか不安な状態でのスタートでした。

しかし、オープンしてすぐから、Mさんが誘ってくださった幼児さんとそのきょうだい児が続々。最終的に、9家族25人が来てくださいました。ありがとうございました。

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よく遊ばれたゲームは、スティッキー、虹色のへび、ドブル、スピードカップス、おさかなクン、バルーンズ、キャプテンリノ、カヤナックです。


↓この女の子は、ドブルで遊んだ後、みんながほかのゲームに移っても、お母さんとふたりでゆっくりと絵探しを楽しんでいました。

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↓幼児向けカードゲームのバルーンズ。小学生にはつまらないかな?と思っていたけど、お兄ちゃんも意外に乗ってくれて、家族全員で遊んでいました。

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(写真は撮れなかったけど)レシピは小学生に大人気でした。


男子パワーがすごかった!みんな元気!これまで女の子が多い会が多かったので、新鮮な驚きでした。

また、ボードゲームは、魅力的な外見のものが多いので、目移りする子、全部開けてみたい子、コンポーネント(コマや釣りざおなど)を渡したくない子などが続出。そりゃそうだよねぇ(^_^;)次回は対策してきます。


運営としては、反省点が多い会でしたが、1回1回のゲーム会がそれぞれ雰囲気が違い、勉強になります。

この福岡の会は、2ヶ月に1度の定期開催をする予定です。これから経験を積んで、どんどん楽しい会にしていきたいです。

参加してくださった皆さん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

ボードゲーム:イチゴリラ

聞こえない子どもたちとボードゲームであそぼう!今月は「手話でボードゲーム会」で人気のゲームをご紹介しています。


今日は、変形神経衰弱のイチゴリラ。

シャープペンシルとだいたい同じ大きさ。この小ささが、小さい子たちの目にとまるようです。

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遊び方は神経衰弱と同じなのですが、同じカードは2枚だけではありません。「1:イチゴ」は1枚、「2:にんじん」2枚、「3:サンタクロース」は3枚あります。もちろん、同じカードを全部めくらないともらえません。

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「ヨット(4枚)」「ゴリラ(5枚)」なんかになるともう難関。

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さらに、紛らわしいカードもあります。

「ゴリラ」と「ごくう」もですが、

「ヨット」と「じょうぎ」もつらいです。

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遊ぶときは、年齢によって4段階に分けています。

①3〜5歳の子が遊ぶ際は、1〜3枚のカード12枚で。

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②年長さん〜小学生あたりは、「ヨット」と「ゴリラ」を入れた21枚で。

③中学生以上、または遊び慣れた子どもたちで遊ぶときは、「じょうぎ」「ごくう」も加えた30枚で。

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④遊び慣れたら、スペシャルカード「おばけ」「にじ」を加えた33枚で。私はまだこのルールで遊んだことはありません。

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絵がわかりやすいので、トランプの神経衰弱よりやりやすい、というイチゴリラ。メモリーカードはいろいろ発売されていますが、こういう変わり種も楽しいです。

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情報:イチゴリラ

プレイ人数:2〜6人

対象年齢:3歳以上

プレイ時間:10〜20分

価格:1430円

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ボードゲーム:スティッキー

聞こえない子どもたちとボードゲームであそぼう!今月は「手話でボードゲーム会」で人気のゲームをご紹介していきます。

3歳くらいから遊べる「スティッキー」です。

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遊び方は簡単。

①全部のスティックを木の輪に通してセットします。

②サイコロ(目は赤・青・黄のみ)を振って、出た色のスティックを抜きます。

③木の輪が床に着いたら負け。


意外に倒れないもんなんですよ。

手話でルール説明できなくても、1度遊べばやり方がわかりますし、小さい子から大人まで一緒に楽しめるし、良いゲームです。

テーブルが滑りやすいと、最初のセットがうまくいかないことがあります。私は大判フェルトを敷いてセットすることが多いです。

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情報:スティッキー

プレイ人数:2〜4人

対象年齢:6歳以上

プレイ時間:10分程度

価格:3000円程度

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わらべの時間@ニコット

今日の午前中、児童発達支援・放課後デイサービス「ニコット」さんで、わらべうたと絵本で楽しむ「わらべの時間」をしてきました。

ニコットさんには、聞こえない子どもたちだけではなく、さまざまな障害をもつ子どもたちが、放課後や土曜日に過ごしています。


まずは「おてぶし」。どっちの手に入ってるか当てるわらべ。

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いつもツカミでやっているのですが、今回もみんなググッと寄ってきてくれました。


それからスタッフさんにご協力いただいて、大人と1対1のわらべ。

「東京都日本橋」「おもちを焼いて(オリジナル)」「おすわりやすいすどっせ」

はじめての経験で、すぐに楽しむ子、慎重な子、いろんな反応がどれもかわいい。


次に、集団あそびで「ゆうびんはいたつ」と「かえろかえろ(オリジナル)」。最後はクールダウンで「ぼうず」。

45分ほどたっぷり遊びました。


そのあと節分の話。鬼の話で想像力豊かな男の子を泣かせてしまいました、ゴメンナサイ。

私が首からかけているのが、ロジャーという補聴援助システムのマイク。補聴器に電波を飛ばして聞き取りやすくしています。

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最後は絵本『おにはそと(せなけいこ作)』を手話で読み聞かせして、おしまい。

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手話もあり、音も聞き取りやすい工夫がしてあるニコットさんで、子どもたちはリラックスして過ごしています。

これから月1ペースで「わらべの時間」が開催されることになり、とっても楽しみです。

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情報:児童発達支援・放課後等デイサービス「ニコット」

北九州市小倉南区湯川新町4-23-1

電話/FAX:093-953-6130

Instagram:nikotto.11

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「見えルール」(1)

ボードゲームは、見てわかりやすい、見て美しい、見て楽しいものが多く、本来、聞こえない人たちとの相性は良いものだと思っていますが、すべてのゲームでストレスなく遊べるわけではありません。少しルール変更をしたり、便利な道具を使ったりすると楽しめるものが多いです。

そういう、聞こえない人たちが「見てわかる」ルールを〔見えルール〕と名付けて、開発・紹介していきたいと思います。

各ゲームに〔見えルール〕がありますが、今日は、多くのゲームに共通する〔見えルール〕をご紹介します。


(1)「せーの!」

ボードゲームには、「せーの!」で一斉にカードを出したり、ゲームが始まったりすることがよくありますが、聞こえない子どもたちにとって、「せーの!」は聞こえにくい言葉です。

自分が見ている方向の人が言えば気がつきますが、違う方向の人が言っていれば見逃してしまいます。子どもたちは、「気がついたら始まっていた」「いつのまにか置いていかれていた」という経験を日常的にしていて、なんとかみんなについていくために、「いつ始まるか、いつ始まるか」と、絶えず緊張して、周りに目を配って待っていなければなりません。

子どもたちが、そんなに張り詰めないでリラックスしてゲームに臨むために、便利な合図があります。

指と声で「3・2・1」と言うのです。


私の周りの聞こえない人たちは、写真を撮る時に「ハイ、チーズ!」の代わりに「3・2・1・カシャッ」とします。ゲームでも同じように、「3・2・1・スタート!」とすれば、子どもたちはタイミングを予測でき、安心してゲームをスタートさせることができます。


(2)早く言った者勝ち

ワードバスケット、ワードスナイパー、ドブルなど、「早く言った者勝ち」方式のゲームはたくさんありますが、これも、聞こえない人にとっては苦手な方法です。何か声がした気がしても、誰が言ったのかわからないし、聞き取れないことも多いし、自分の考えに集中していると、なおさら周りの音が聞こえにくくなります。

それに対する工夫はいくつかあります。


①指さし

答えを「言う」代わりに、指でさして伝えます。この方法だと、オリジナルルールとほぼ同じスピード感でゲームが進みます。〔ドブル〕で使っています。


②コマを置いて発言権確定

答えがわかったら自分のコマを置きます。最初にコマを置いた人に発言権があります。それから答えを言います。この方法だと、オリジナルルールよりもゆったりとゲームが進んでいきます。〔ワードスナイパー〕〔ワードバスケット〕で使っています。


③手番制にする

早い者勝ちではなく、順番にプレイする手番制のゲームは、いつ自分がプレイすれば良いかわかりやすく、自分の番以外では少し気を緩めても良いし、リラックスして楽しめます。手番制に変更できそうなゲームは、変更してみるのも良い工夫だと思います。


今回は、ボードゲームをしていると頻繁に出てくる「せーの!」と「早く言った者勝ち」を取り上げました。これからも〔見えルール〕随時追加していきます。

聞こえない人と聞こえる人が同じ卓を囲んでボードゲームを楽しむ光景が、いつか当たり前になることを願って。