目のまど

手話で聴く心の支援「目のまど」店主。手話通訳士。臨床心理士。聞こえない・聞こえにくい人と手話にまつわるいろんなことをしています。

1/25わらべの時間@ニコットと絵本選び

1/25(土)、月に1度のわらべの時間にうかがいました。

自分が目一杯やっている関係上、私は写真を撮らないので、レポートはニコットさんのレポートに委ねます。

https://www.instagram.com/p/B7viJYQH58J/?igshid=1int4ujxsxodb

①おてぶし

②手遊び1・2・3・4・5

*この手遊びは手話ができるおサルのモンちゃんが進行役です。モンちゃんは先日YouTubeデビューしました。https://youtu.be/SohwIetYJ8Y

③おもちを焼いて

お船がぎっちらこ

*ある女の子から「みんなでやりたーい」というリクエストがあり、普通2人組でするこの小さなボート遊びが7人対8人の豪華客船に早変わり。何とかできました。

⑤大きなかぜ小さなかぜ

⑥帰ろ帰ろ

⑦ぼうず

 

そのあとは

⑧絵本。

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竹下文子 文

鈴木まもる 絵

「せんろはつづく」

子どもたちが主役で、ちょうど良い量の情報が見てわかるように描かれていて、トラブル発生→ページをめくると解決、という繰り返しが楽しい、とてもバランスの良い本です。

 

絵本の中には、聞こえない子どもたちが楽しめる本と、いまいちピンとこない本があるように思います。私の絵本選びのポイントは、「見てわかるタイミングが心地よいか」です。

 

大好きな絵本に「しんせつなともだち」という名作があります。

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何度もこれを読み聞かせられないか試してみたのですが、実はまだ保留中です。

ある日ウサギがカブを拾いました。ウサギは「隣のロバさんはきっと食べ物がないに違いない」と考えて、ロバの家にカブを置いていきます。そのロバはお隣のヤギのことを想い、ヤギはまたお隣の鹿のことを想い、カブは次々と親切な気持ちと共に村じゅうを巡って、最終的にウサギの元に戻ってくるという、素敵なお話です。

繰り返しが多いし、絵もかわいいし、いつか読めると考えて何度も候補に上がりますが、まだ実現していません。なぜかというと、カブを置いていく時に、カブをプレゼントしたい相手がいつも留守なのです。

 

子どもたちは絵本をめくられた瞬間、まず絵を見ます。それからふと目を上げます。「これって何の話?」と私の手話を待っているのです。私は手話で話をすることもあるし、絵本の中の絵を使いながら話を進めていくこともあります。

聞こえない子どもたちが楽しみやすい本は、絵で物語が進んでいくお話です。

絵本は、お話の量に対して絵の枚数が少ないので、話す前に登場してしまうネタバレも多く、読み手の方で少し先まで話を進めてからページをめくることもあります。

ページをめくる→絵を見る→お話を見る→少し話す→ページがめくられるのを楽しみに待つ

このサイクルが繰り返されていくなかで、子どもたちがグーっと絵本の世界に入っているのを感じます。

この日の読み聞かせは、そんな子どもたちの反応を感じられました。

 

絵本が終わると本当にお別れ。

⑨さよならあんころもち

「さよなら あんころもち またきなこ」

と手話で表しながらみんなとお別れ。

 

この日も楽しい1時間でした。

ニコットのお友達のみんな、スタッフの皆さん、ボランティアの皆さん、ありがとうございました。

 

12/27手話でボードゲーム会@かいじゅうの森

聞こえない子供達の放課後等デイサービスで、冬休みのボードゲーム会。幼稚園児4名、小学生10名。施設スタッフ6名、ボランティアスタッフ5名で楽しみました。

この日は、熊本県で活動されている方たちがボランティアスタッフとして入ってくださり、ゲームもたくさん持ってきていただいたし、一緒に遊んでもいただきました。

私の持ち込みゲームもたくさんあったのですが、よく遊ばれたのはこんな感じ。

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いつものことながら写真が撮れず、帰宅後に自宅で撮影した写真ですみません。

こちらでのボードゲーム会は5回目になるので、子どもたちも慣れていて、見慣れたゲームはひととおりやっていました。

今回初めて持って行ったゲームのうち、よく遊ばれていたのが「スコットランドヤードジュニア」。名作「スコットランドヤード」の簡易版です。

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子どもたちにわかりやすいように、ミスターXは「泥棒」と呼んでいます。泥棒1名(上)と警察2名(下)の対決。とてもシンプルなボードです。

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〔ルール〕

①泥棒は、4つの交通手段(船、バス、タクシー、電車)または「移動しない」を決め、交通手段のチップを握ってボードの上に置きます(「移動しない」場合はただ手を握っておく)。

②警察が移動手段を選択して交通手段チップを公開します(動かなくても良い)。

③泥棒が手の中を見せて、全員で移動。

④泥棒が警察と同じコマについてしまったら逮捕。警察の勝ち。逃げ切れたら泥棒の勝ち。買った方に手錠チップを置く。

⑤警察が3回勝ったら警察の勝利。泥棒が9回勝ったら泥棒の勝利。

はじめは小学生男子が楽しんでいましたが、のちに幼稚園の子供たちも遊んでいました。

 

ピクテルは登場2回目。ゲーム会の終盤に出して、ゲームに飽きた子どもたちが自由に遊びます。最後にこれで遊んでもらっていると、時間が来たときに終わりやすいです。残り10分でブロックスを始められると、なかなか切れずに困るので、時計を見ながら子どもたちをピクテルに誘います。

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〔フリーなルール〕

①ピクテルのカードを大きな円形に並べます。

②簡易マグネットボードを何枚か(人数分でも可)置いておきます。

③作りたい絵が決まったら、ボードの上に自由に作ります。

④でき上がったら周りの人に知らせて見てもらいます。

 

子どもたちは次々に面白い発想をしていました。写真撮らなかったのが悔やまれる…。

上の写真は、想像力が枯渇した中年による「ラグビー」。

 

今回の反省点としては、はじめにゲームを並べすぎて、子どもたちが理解力と合わないゲームをやりたがってしまった、ということでした。

ゲームの並べ方はいつも迷うのですが、はじめは定番の5つくらいを出して、残りはバッグにしまっておき、頃合いを見計らってこちらから提案する、という形の方がよかったかもしれません。

一度に出すゲームの数も、14人だったから…4つくらいからスタートした方が良かったかも。子供達が喜ぶ顔が見たくて、ついついいろいろ出してしまいますが、かえって興奮してしまって、本当は落ち着いて遊べる子たちがウロウロしてしまう、という様子も見られました。

 

春休みの開催がすでに決定しているので、こんどは計画を練って臨もうと思います。

かみやパパからはじまるAdvent Calendar 2019

ボードゲームでお世話になっているかみやパパさん(「ヒントをいいます」の作者)が主催されているアドベントリレーブラグの企画に参加してみました。

https://adventar.org/calendars/4415

今年のテーマは「わたしが今年がんばったこと」。

 

今年は、これまでやってきたことを紙にした1年でした。

 

簡単に自己紹介をします。

フリーランス臨床心理士として、精神科クリニック等で働いてきました。10年前、子育てで仕事をほぼ辞めていたころにたまたま手話講座を受けたことがきっかけで、現在は、聾学校スクールカウンセラー子育て支援など、聞こえない人専門の心理士をしています。また、手話通訳士の資格も得て、地元の手話通訳としても働いています。

 

一方、ボードゲーマーとしては8年目になります。現在12歳の次女が4歳の頃、当時通っていた幼稚園で不適応を起こし、転園しました。そこが、お預かりでボードゲームをする園だったのです。虹色のヘビ、スティッキー、ハリガリ。スピードカップス…。そこから我が家のボードゲームライフが始まっています。

今、その子は中学1年生。もうなかなか家では遊んでくれなくはなりましたが、私が主催するボードゲーム会の手伝いは、休みであれば手伝ってくれます。思春期特有のツンなインストが評判です。一番好きなゲームはカタンです。

 

さて、今年の執筆仕事第1号はリーフレットです。

f:id:iryomico:20191222103803j:image聞こえない人たちへの心理支援をしている心理士は、全国的にみても人数が少なく、情報交換や合同で学会参加などをしている仲間は10数名。

そんな状況ですから、手話で話す聞こえない人が相談する先がほとんどないのはもちろんのこと、補聴器をして日本語で話せる難聴者も、カウンセリングを受けるのに苦労しています。カウンセラーの側が聴覚障害についての知識不足で、ズレた対応をするからです。

そこで、全国の仲間で協働して、心理師に向けた啓発用リーフレットを作りました。

 

 

そして、先日ようやく完成したのが、「聞こえない子とおうちであそぼうシリーズ(1)  ボードゲームであそぼう①」、A5版30ページのブックレットです。

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聞こえない子どもたちを対象としたボードゲーム会を開催しはじめて1年。聞こえない子どもたちは、聞こえる家族とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、聞こえる人へのコンプレックスや遠慮があったりしますが、ボードゲームを介するとみんな楽しく過ごせるのではないか、と思いついて始めたボードゲーム会ですが、この1年で楽しいできごと、新しい発見がたくさんありました。これらの経験をブックレット にして、聞こえない子どもたちの楽しみを広げたいな、と思って作りました。

 

小さい小さいブックレットですが、その制作はなかなかたいへんで、今となっては本を執筆する全ての人を尊敬します。

 

来年は、「聞こえない子とおうちであそぼうシリーズ」の第2弾として、わらべうたに関するブックレットを制作予定です。わらべうたを使った親子のふれあい遊びを、聞こえない子どもたちが楽しめるようにアレンジしたりオリジナルで作ったりしています。

自分が毎月やってきていることだから、簡単に書けそうですが、きっとまた1年ウンウン唸って作ることになるのでしょう。

 

Twitterのおかげで「ボードゲームであそぼう①」は多くの方に興味を持っていただいています。BOOTHにネットショップも開店して、中年ながら新しいことにたくさんチャレンジした1年でした。

 

 

ブックレット完成&ネットショップ開店

4月ごろ思い立って、なかなか仕上がらなかったブックレット。ようやく完成しました。

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聞こえない・聞こえにくい子どもたちとおうちであそぼうシリーズ第1弾「ボードゲームであそぼう①」

です。

ボードゲームの紹介や

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座談会

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聞こえない子どもたちと遊ぶ際の工夫を「見えルール」と名づけてまとめてみました。

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また、ボードゲームで遊ぶ時によく使う手話を10語紹介しています。イラストを描いてくれたのは、イラストレーター を目指すろう者です。

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A5版30ページ。1冊300円です。

 

販売にあたって、人生初のネットショップ「目のまど」を開きました。

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https://menomado.booth.pm/

興味を持ってくださった方がおられましたら、ショップを覗いてみてください。

毎日数冊持ち歩いてもいます。直接お会いできる方はお声かけください。なんと、PaypayならびにauPayにて決済可。中年も時代についていくべく必死です。

 

ボードゲームは、聞こえない・聞こえにくい子どもたちと家族がつながる一つのかたち。

細々と広がっていってくれたら嬉しいです。

12/5 手話でボードゲーム会@某聾学校

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ある聾学校で別の聾学校の子供達を招いての交流会が行われ、ご依頼を受けて「手話でボードゲーム会」を開催しました。小学生28名、先生方10数名のご参加でした。

ホスト校のうちの数名は、このブログでもご紹介している放課後等デイサービス「かいじゅうの森」の利用児なので、長期休暇のたびにボードゲーム会を経験しています。その子たちが、ゲスト校の子供達や低学年の子どもたちを誘って一緒に遊んでくれました。

 

ボードゲームが初めてのお子さんのために、「虹色のへび」「スティッキー」「はじめての果樹園」あたりを最初から出していたところ、大人気でずっと遊ばれていました。「虹色のへび」は高学年の子供たちにも人気。先生もお一人ハマっておられました。

 

先生方ははじめ見守るご様子だったのですが、促して一緒に遊んでいただきました。

あとは「ブロックス」「レシピ」「パカパカお馬」「ヒューゴ」「キャプテン・リノ」「メイクンブレイクジュニア」がよく遊ばれていました。

 

「メイクンブレイクジュニア」で子供たちと真剣勝負をしていた先生から「このゲームは手加減ができなくなりますね。」と言われました。子供たちは、周りの大人がいつも手加減するので負ける経験が少ない子が多いとのこと。ボードゲームでの大人とのガチ勝負は、子供たちにとっても良い経験になるようです。

 

初出しの「ゴーゴージェラート」は手を使って良いルールで。アイス部分は、ピンポン玉みたいなのを想像していたら、意外に重さがあってしっとりした触感で、安定感があって良いです。

 

「ピクテル」は真ん中にカードを広げておいて、個人ボード(セリアの四つ切ホワイトボード)に好きに作って発表していくという遊び方に。子供たちは、ゲームに飽き時にしばらく作りに来て、またゲームに戻る…みたいな使い方をしていました。

 

子供たちのキラキラした目がかわいかった90分間。またいつか呼んでいただけたら嬉しいです。

11/10(日)手話でボードゲーム会

投稿は久しぶりですが、第5回となる「手話でボードゲーム会@福岡」。

土曜日の会場が取れず、初めての日曜開催。持って行ったのはこんなラインナップ↓

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C大学手話サークルの学生さん3名(内2名は初)と、S保育園の先生方3名がボランティアとして参加してくださいました。


参加者は、2家族6名でした。いつもは5〜6家族なので、日曜日は参加しにくいのかもしれません。ただ、いつも参加してくださってボードゲームに慣れているご家族なので、今日はいろいろチャレンジさせてもらいました。


チャレンジ①大人のボードゲーム

スタッフが潤沢だったので、子供たちは学生スタッフと一緒に〔パカパカお馬〕で遊んでもらって、

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その間にお母さんは大人スタッフと〔ごきぶりポーカー〕。

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ほんの少しの時間でしたが、子育てから離れてボードゲームを楽しんでもらいました。

今は家族単位で遊んでいるボードゲーム会ですが、だんだん家族入り混じって遊べるようになったらいいし、いつか、大人だけで〔カタン〕…みたいな展開を夢見ています。


チャレンジ②〔ピクテル〕

この会には初めて持ってきたゲームとしては、〔レターズ〕〔ピッグテン〕〔ピクテル〕がありましたが、その中でも〔ピクテル〕がなかなか楽しかったです。

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標準ルールではなく、ピクトグラムカードを円形に広げて、思いついた人がどんどん絵を披露していく、というゆるいルールに。テーブルが白じゃない時は、発表用にホワイトボード(円の真ん中に置く)があると良かったかもしれません。


その他に今日遊ばれていたゲームは〔はじめての果樹園〕〔スピードカップス〕〔メイクンブレイクジュニア〕〔レシピ〕〔ウボンゴ〕。

〔ピッグテン〕もやってみましたが、幼児さんにはさすがに難しかったので、きようだい児が多い時に、小学生とスタッフとで再チャレンジします。


「ひたすら楽しかった」と言ってくれた学生スタッフさん。手話サークルとはいっても日ごろ手話を使う機会がないとのことなので、これからも、子供たちとの交流でぜひ実践していっていただきたいです。

10/26(土)ニコット「わらべの時間」

北九州市内の児童発達支援&放課後等デイサービス「ニコット」さんで、月に1度の「わらべのじかん」。

https://www.instagram.com/p/B4E1fkdnqT8/?igshid=1pcd4dyywr2bw


スタッフの多くが手話ができる事業所さんですが、利用者は聞こえない子だけでなく、知的障害のお子さんもいます。


昨日は、何度も参加してくれているお子さん5人と初参加の2人。

「おてぶし」「手あそび1・2・3・4・5」「いっぽんばし」「おもちをやいて」「おおきなかぜ」「かえろかえろ」「ぼうず」

というラインナップ。

以前は顔をこわばらせて固まっていたMさん。今日はニコニコと参加して積極的に遊んでくれました。

慣れないことに遭遇すると攻撃態勢で自分を守るAさん。何をすればよいのがわかると、持ち前の明るさで遊びに入ってきます。

自分がわかるまでは観察したいYちゃん。以前は泣いたり動かなかったりという方法でしたが、今日は手話で「ぼくはここから見とく。」とはっきり宣言。キラキラした目で、いろんな子を観察していました。


みんな、わかりたい。わかったら、もっとやりたい。その意欲は力強い。

わかるまでにかかる時間はそれぞれ違うし、わかるまでの間、それぞれのやり方でわかろうとしています。

そのわかろうとしている間、大人のペースで急かしたり、無理に周りに合わさせたり、「できない」と決めつけたりしないことが大切だな、(そしてけっこうやっちゃってるな)と、改めて感じました。


絵本は、ユニークな視点の絵本を制作されている佐藤雅彦さんの『このあいだになにがあった?』科学系に分類される絵本ですが、みんな前のめりで見ていました。考えるの、好きですね。


さいごはいつもの「さよならあんころもち」でお別れ。「私と一緒にやってくれる人ー?」と募集すると、いつものNさん以外に、Aさんと、なんと初参加のTくんも。

3人並んで、4人のお友達といっしょに「さよならあんころもちまたきなこ!バイバーイ!」と元気にやってくれました。


来月は11/30。さらに寒くなっているころですね。何をしようかな。冬に合うわらべは何があるかな。今から楽しみです。